宮城県漢詩連盟
漢詩鑑賞 福武漢和辞典 より
➊ 七歩詩 七歩の詩「五言古詩」 魏 曹植
煮豆持作羹 豆を煮て持ちて羹と作し
濾豉以為汁 豉を濾して以て汁と為す
萁在釜下燃 萁は釜の下に在りて燃え
豆在釜中泣 豆は釜の中に在りて泣く
本是同根生 本是れ同根より生ぜしに
相煎何太急 相煎ること何ぞ太だ急なる
【口語訳】
豆を煮てスープを作り、みそをこして吸い物とする。豆がらは釜の下で燃え、豆は釜の中でグツグッと泣く。豆がらも豆も同じ根からできたものなのに、豆がらはどうしてそんなに激しく煮立てるのだ。
【ポイント】
この詩は、曹植が兄曹丕に七歩あるくうちに詩を作らないと死刑にすると命じられて作ったといわれる。兄弟の間柄を豆と豆がらに例えて、巧みに兄を風刺した。この詩を見て、曹丕は恥じ入ったという。
【故事成語】
「七歩才」詩や文章をすばやく作る才能。魏の曹植が兄の曹丕(文帝)にその才能をねたまれ、七歩あるく間に詩を作れと命ぜられて、たちどころに作った故事による。『世説』
❷ 題不識庵撃機山圖 不識庵機山を撃つの図に題す
七言絶句 頼 山陽
鞭聲粛粛夜過河 鞭聲粛粛夜河を過る
曉見千兵擁大牙 曉に見る千兵の大牙を擁するを
遺恨十年磨一劍 遺恨なり十年一剣を磨き
流星光底逸長蛇 流星光底長蛇を逸す
【口語訳】
上杉謙信の軍は、鞭の音も立てないように静かに夜のうちに犀川を渡った。明け方、武田方は上杉の大軍が大将の旗を立てて目前に現れたのを見て驚いた。だが、まことに残念なことには、この十年間、一振りの剣を研ぎ磨いていたのに、打ち下ろす刀光一閃の下、結局信玄をとり逃がしてしまった。
【ポイント】
詩題の「不識庵」は越後の上杉謙信、「機山」は甲斐の武田信玄の号。「図に題す」とは、謙信と信玄の一騎打ち場面を描いた図柄を見てその感慨を詩にした意。承句の「見る」の主語は武田方であることに注意する。
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